事業紹介

「しごとコンビニ」を活用した飲食店及び町民生活等緊急支援事業
(出前イーツひがしかわ)

北海道東川町

  • 首長インタビュー
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  • 地域未来構想20
  • オープンラボ

事業の概要

「しごとコンビニ」を活用した飲食店及び町民生活等緊急支援事業 <br>(出前イーツひがしかわ)
  • 事例集番号

    64,30

  • 地域未来構想20

    -

  • 事業実施時期

    令和2年4月〜令和2年6月

  • 総事業費

    10,850千円

「出前イーツひがしかわ」は、商工会青年部と東川町が連携して行う買い物代行サービスです。商品の配達サービスではなく、町民から依頼を受けた買い物を代わりに行う「買い物代行」 サービスで、東川町商工会青年部が中心となり実施しました。 お届けは、2020年4月よりスタートした「しごとコンビニ事業」の登録者が担い、町内の飲食店を対象に、東川町内に配達エリアを限定したサービスです。飲食店には、自粛により落ち込んだ売上の確保を、利用者には、外出自粛期の閉塞感などの辟易とした気持ちの解消を、働く人には、収入の確保の場を設けることを目的とした「三方よし」の事業を目指しました。併せて、町内に住む18歳までの子供や町内専門学生や留学生を対象とした「親子食事チケット緊急配布事業」や地域通貨(HUCポイント)のポイントキャンペーンなどを実施し、コロナ渦における町内人材・資源を活用した消費喚起を行いました。

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事業の背景

コロナ禍にて自粛ムードになり、 町内飲食店へのダメージが懸念され始め、飲食店にてテイクアウトを開始する店舗が増え始めた。商工会青年部にて、テイクアウト実施店を紹介するチラシを作成・発信を開始。町では、コロナ禍が長引く懸念から町内経済対策の検討を開始した中、両者が連携し、さらに一歩進んだ飲食店支援、住民支援、経済対策ができないかを協議し、新たに開始する「しごとコンビニ」事業スキームを生かし、実現に至った。

  • 首長インタビュー

    松岡 市郎
    北海道東川町長松岡 市郎
    出身地
    北海道東川町
    首長職以前の略歴
    旭川東高卒、室蘭工業大学中退
    東川町役場勤務を経て、2003年東川町長に就任(現在5期目)
    首長としての活動実績(一例)
    ●写真文化首都「写真の町」東川町の地名度を生かしたプライムタウン(最高のまち)づくりの推進
    ●職員の知力と実行力を求める「前例踏襲型」から「個性創造型」行政への転換
    《特徴的な事業》
    ・景観や環境に配慮した東川風住宅の建築補助金
    ・「ひがしかわ株主制度」(街を応援したい方が寄付により、まちづくりに参加する制度)
    ・「新・婚姻届」(複写式の婚姻届けによって一枚を手元に残せる)
    ・「君の椅子」(まちで生まれた赤ちゃんに手づくりの椅子を贈る等)
    コロナ禍で浮き彫りになった地域課題

    東川町の産業は観光業、木工業、農業と、1次産業から3次産業まで、バランス良く構成されています。昨夏のオリンピックでは北海道札幌で花形競技のマラソンが行われる予定で、近年北海道・アイヌ文化への注目が高まっている中、特に観光、商工分野は順風満帆だと考えていたのですが、コロナ禍により人の流れが止まり、大きな打撃を受けることとなりました。



    臨時交付金をどの事業に充てるか優先順位の考え方

    コロナ臨時交付金では、R2.4月の時点で経済対策とコロナ対策とを車の両輪のごとく行いました。また目の前の危機をどう乗り越えるかに主眼を置き、当時、ポストコロナ対策の優先順位はさほど高くはなく、経済対策を最優先課題としました。
    まず、東川町は人口8000人超の町でありながら、カフェなどの飲食店が50店舗ほどあり、そこが町の大きな魅力でもあります。しかし、コロナ禍による外出自粛で厳しい状況が続いているということで、飲食店の売上確保を目指して、注目事業である出前配達サービス「出前イーツひがしかわ」を実施しました。これは、町内の飲食店を対象に、東川町内に配達エリアを限定した出前サービス。実施にあたっては、町民が登録して短時間から仕事ができる「しごとコンビニ」の仕組みを活用して、町民の雇用を創出し、なかなか買い物にも行けないという町民の生活支援にも繋げました。
    同時に休校になり、外出もできない子どもたちに、「出前イーツ」に対応した「親子食事チケット」を配布し、外食の楽しさを味わってもらいました。


    事業を実施する上で、大切にしたこと

    コロナ禍はかつてない緊急事態。ほとんどが新たなチャレンジで、何がベストかはやってみなければ分からないという状況でした。こういった状況で非常に大切なのは、SOS行政(Speedy, Open, Satisfaction)。スピードを持って、やることはしっかりオープンにし、住民の方々に満足いただくということです。その点、注目事業を実施する際も、迅速に仕組みを作り、まずは実施に向けて走り出す。そして柔軟に修正し、完成形に発展させて行く、という東川町の自治体経営の基本を大切にしました。そのためにも、現場の若手たちには大きな裁量を持たせて頑張ってもらいましたね。


    withコロナ時代の地域づくり

    コロナ禍を通じて、過密から適疎を求める社会の変化、垂直社会に閉じ込められるところから広い並行社会への変化、コンクリートから木造へという変化がありました。その変化に応じてどう行政展開をし、産業振興を図るか、ある意味試されているときだと考えています。
    その点私たちは以前から「適疎」なまちづくりを掲げ、都心からの移住を促進しています。今回のコロナ禍で過密の都心を脱出したいという方がさらに増え、10数組の子連れ家族が移住体験をし、実際30名の方が移住を選択されています。今後は都心のみなさんとの、コワーク・コラボレーション・コーポレーションにも取り組もうと、テレワーク施設の建設を予定しています。
    また、テレワークが中心となった今、より使いやすさにこだわった椅子や机が求められるようになっています。そこで東川町でも、よりデザイン性の高い家具を生み出すために、建築家の隈研吾氏とコラボレーションして、R3.6月に木製椅子の「KAGUデザインコンペ」を実施します。今年の1月からエントリーを進めて、早速国内外から1,850件を超える応募がありました。優秀賞を受賞したものを製品化する予定もあります。
    さらに、ポストコロナに向けての地域の魅力発信にも取り組んで行きます。地域の魅力は、大雪山であり雪解け水であり、アイヌ文化でありますが、特にアイヌ文化に関しては、アイヌ女性・知里幸恵の生涯を描く映画を製作する予定も。こちらも楽しみにしてください!


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  • 担当者コメント

    井上 翔平
    北海道東川町しごとコンビニディレクター(所属 株式会社はたらこらぼ しごとコンビニ事業部 スーパーバイザー) 井上 翔平
    注目事業を実施した経緯

    東川町では、以前より町民の方に経歴やスキルを登録していただき、町内の企業、お店、ボランティア団体とマッチングする「しごとコンビニ®」という仕組みを作り、現在200人ほどが登録しています。経歴も薬剤師、デザイナー、英語が堪能、家事に自信がある方などさまざま。登録メンバーにお仕事情報が届き、希望の時間や職種を選び、仕事を受ける仕組みになっています。
    ちょうどこの「しごとコンビニ®」事業がスタートしたとき、コロナ禍でテイクアウト事業を開始する飲食店が増えたということで、商工会青年部の皆さんがテイクアウト実施店を応援するための情報発信を開始していました。そこで、町と商工会が連携し、配達人材が必要なテイクアウト事業と「しごとコンビニ®」事業を組み合わせ、「出前イーツひがしかわ」が実現しました。
    「出前イーツひがしかわ」は、配達の仕事をしたいという町民の方が「しごとコンビニ®」に登録し、仕事が入ったら町内飲食店で買い物代行をし、町民の家に配達するシステムです。配達員には緊急事態宣言が出て休業を余儀なくされた方、首都圏の大学に通えず自宅待機をしている方などが登録し、最終的に30名で配達を担いました。


    注目事業を実施してよかったと思う点

    「出前イーツひがしかわ」を実施したことで、飲食店の売上アップ、配達する人の収入確保が叶えられました。また、今までなかなか飲食店に足を運ぶ機会がなかったご高齢の方が、気になっていた飲食店のメニューをまず「出前イーツ」で試してみて、おいしかったのでお店に足を運ぶようになったという声もあり、インナープロモーションにも繋げられました。
    出前イーツ事業は一旦昨年の6月で終了しましたが、現在はこのスキームを生かし、飲食店4店舗と提携して、企業向けに社員弁当を届けるサービスをスタートしています。交付金に頼らず、売上だけで事業を回して行けるようになれば、100点満点ですね。


    注目事業にどのように地域の関係者を巻き込んだのか

    行政主導で仕組みを作り、「この通りやってください」と住民の方に下ろして行くと、どうしても「やらされ感」が生まれてしまいます。その点東川町では、「しごとコンビニ®」の仕組みを動かすところは町に任せてもらえる環境があり、飲食店間の交渉や調整は商工会青年部のみなさんが担い、飲食店、配達員の方には実際の業務をお願いしながら、金銭の授受や配達の方法など細かい部分について意見を出してもらいました。役割分担はしつつも、その枠を超えて毎日情報交換をして、みんなで一丸となって事業の仕組みをブラッシュアップして行く……。その過程で、全員の思いが「困っている誰かのために、町のために何かしたい!」と一致したことが成功の大きなポイントですね。


    ■井上 翔平氏プロフィール
    北海道東川町しごとコンビニディレクター
    人材派遣会社にて、人材派遣や人材紹介の営業、求職支援や就職支援などに従事。
    2019年より東川町で「しごとコンビニ」事業の導入および運営支援をスタート
    2020年、【地域の働く人と仕事を発掘してつなぐ仕組み「しごとコンビニ」】としてグッドデザイン賞「地域・コミュニティづくり」部門を受賞。


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  • 有識者コメント

    一井 暁子
    一般社団法人 つながる地域づくり研究所
    代表理事
    一井 暁子
    この取組を面白いと感じた理由

    この取組では、地方創生に取り組む際の、重要ポイントの一つである、「政策間連携」が実現されています。
    具体的には、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、売上が落ちた飲食店への産業支援と、なかなか買い物に行けない町民への生活支援、仕事や収入に関する不安を抱える町民への経済支援との連携です。
    飲食店等のテイクアウトや宅配を支援する事業に取り組んだ自治体は多く、地方創生図鑑にも489件が掲載されていますが、住民の生活や経済状況も同時に支え、相乗効果を創出する事業としたところが、この取組の特長です。
    企画や実施に当たっても、町と商工会青年部、「しごとコンビニ」に登録する町民が、「官民連携」で取り組んでいます。


    この取組の特に注目してほしいポイント

    町内での「官民連携」による「政策間連携」を実現したことにより、経済面においても、まちづくりの面においても、町内での波及効果が生まれています。
    例えば、域外の宅配サービス等ではなく、町内の「しごとコンビニ」を活用しているため、交付金のお金が域外に漏れず、町内の経済循環に貢献しています。30名の方が、この業務を担ったとのことで、多くの町民の手にお金が渡り、事業の効果を実感されたでしょうし、町内消費にもつながったと考えられます。
    また、飲食店や、買い物を依頼した町民からの、お礼の言葉は、働いた方にとって、役に立ったというやりがいや喜びになった、というお話を伺いました。それが、取組終了後に、新たな事業(社員弁当)を自ら考え出した原動力になったのだろうと思います。


    この取組と組み合わせたら相乗効果のありそうな取組

    東川町では既に実施されていますが、「親子食事チケット」のような(プレミアム付き)商品券や、行政や商工団体が発行するポイント制度、地域通貨等と組み合わせることで、域内経済循環を、一層高めることが可能です。


    この取組をオススメしたい自治体

    子育て中の女性や高齢者等、手の空いた時間を活かしてちょっと働きたい方々に対する、活躍・しごとの場の提供、あるいは、人手不足に悩む事業所や、今いる社員だけではできない業務に挑戦したい事業所等の支援に、取り組みたい自治体にお勧めします。


    この取組に期待すること

    「しごとコンビニ」についての期待ですが、隣接する旭川市や、更には札幌や東京等の都市部の仕事を獲得することで、外から稼いだお金が、住民所得を向上させ、域内消費を増加させる流れを生み出せるといいと思います。
    また、町からの委託業務等を通じて、町政への理解や参加感が醸成され、町民参加のまちづくりが促進されることも期待しています。


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  • 有識者コメント

    高橋 俊宏
    株式会社ディスカバー・ジャパン
    代表取締役社長
    高橋 俊宏
    この取組を面白いと感じた理由

    そもそも「しごとコンビニ」という仕組みが画期的。あいた時間に町内の人たちの雇用をうむ仕組みが素晴らしいと思う。グッドデザイン賞も受賞という実績もそれを裏付けている。今回の取り組みではその仕組みに「出前イーツひがしかわ」という新たなサービスを特化して加えたのがよいアイデア。コロナで困窮する飲食店を助けることになり、外出できない人への美味しい食事の提供、さらにコロナで休学を余儀なくされた学生の雇用にもなる。つまり三方よしを実現しているのが評価できる。これまで行ったことのない店のものを注文したことがきっかけでリアルに店に訪れる動機になったという声も。結果的にコロナがきっかけでインナープロモーションにも繋がったということも高評価。


    この取組の特に注目してほしいポイント

    コロナ対策の補助金を経済対策とコロナ対策の両輪を実現した点が注目のポイント。東川町は人口8000人にも関わらず50店舗の飲食店がある。緊急事態宣言でリアル営業ができない飲食店の経済活動を支えるために出前イーツひがしかわを創出したことが経済的に大きな支えになった。もう一つが外出自粛で外に出られない人のために買い物代行をすることで生活支援に繋がったというこの二つがうまく活動したということを評価。また、町内に住む18歳までの子供や町内専門学生や留学生を対象とした「親子食事チケット緊急配布事業」や地域通貨(HUCポイント)のポイントキャンペーンなどを実施したこともユニークかつ注目ポイントだ。


    この取組と組み合わせたら相乗効果のありそうな取組

    高齢者への宅配事業や見守り事業などと組み合わせるといいのでは。


    この取組をオススメしたい自治体

    顔が見える地域。町村レベルの自治体で有効なのでは。この仕組みを地域おこし協力隊などに提供するのもよいのではと思う。


    この取組に期待すること

    「出前イーツひがしかわ」はアフターコロナ、ウィズコロナでも継続できるサービスではないか。さらにこの仕組みは他地域でも応用が可能。「しごとコンビニ」という仕組みもこれからの過疎や高齢者、子育て世代などに、このサービスで、労働力と生活支援が必要な方々をマッチングすると地域課題を解決できる可能性を秘めていると思った。


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