事業紹介
「岩美がんばれ若者小包」お届け事業
鳥取県岩美町
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- 地域未来構想20
- オープンラボ
事業の概要

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事例集番号
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地域未来構想20
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事業実施時期
令和4年6月~令和5年3月
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総事業費
1,928千円
新型コロナウイルス感染症対策により外出自粛・アルバイト収入の減少等の影響を受けている岩美町出身の専修(専門)学校、短大、4年制大学(大学院)に在学中の方を応援するため、町内産品を詰め合わせた「岩美がんばれ若者小包」を届ける。
岩美町出身の学生に届ける小包は、A:町内産のお米、食パンやジャムなどを詰め合わせた「常温便」、B:町内産「田村牛」を使用したハンバーグ、ハタハタの南蛮漬けや甘えびなどを詰め合わせた「冷凍便」、C:町内産「田村牛」の鉄板焼き用肉を詰めた「冷凍便(肉)」の3種類で、学生の好みに合わせて選択できるようになっており、1年に2回の発送を行う。
岩美町ホームページや岩美町公式SNS(Twitter、facebook、Instagram)を活用し、発信することでより多くの学生や保護者に周知を行う。また、岩美町ホームページから申込フォームにリンクできるようにすることで、学生の申込におけるハードルを下げるように努めた。
事業の背景
新型コロナウイルス感染症のまん延防止対策に伴う、外出自粛や飲食店などの営業自粛により、通常の生活が困難になっている。親元を離れて学生生活を過ごす学生はアルバイト先の営業自粛や保護者の収入の減少により、特に生活が困難となっている。そこで、岩美町外で頑張る学生を対象に、町内産品を詰め合わせた「岩美がんばれ若者小包」を送付することで、コロナ禍の学生生活の支援を行う。
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首長インタビュー
鳥取県岩美町長長戸 清
続きを読む外出自粛で行き場を失った農水産物の名産品
岩美町では新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大きく2つの地域課題が浮き彫りになったと考えます。それは、外出自粛による飲食・観光産業の低迷と、外食産業の落ち込みによる農水産物の需要が減少したことです。
新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う政府や自治体からの外出自粛要請により、全国的に飲食・観光のために外出する機会が大幅に減少しました。そのため、岩美町の大きな魅力である海・山・温泉を中心とした豊かな自然環境とその自然環境が生んだ松葉がに・マコモタケなどの農水産物を活用することが困難となり、町内の飲食・観光産業が低迷。さらには、外食産業の落ち込みによる農水産物の需要の減少が大きな地域課題であると考えます。
このことから、本町の経済は地域外からの需要に頼るところが大きく、地域内での経済循環が不足していると感じました。
消費機会損失の町内産品で、町外に暮らす若者たちを応援
新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛などにより、従来の生活様式とは異なる“新たな生活様式”での生活が求められました。その中でも、親元を離れて生活されている学生さんは、不慣れなうえに帰省の自粛やアルバイトをすることができないなど、日常生活や就学の継続に不安を抱えているのでは?と考えました。
そこで、コロナ禍において岩美町外で生活する学生さんに、ふるさとの味を届けて応援しようと町内産品を詰め合わせた「岩美がんばれ若者小包」をお届けすることといたしました。また、この取組は町内産品の消費拡大はもちろん、ふるさと岩美は学生さんたちの将来的なUターンを待望しているというメッセージの発信にも繋がったと考えます。
オンライン申し込みを可能にし、より多くの学生さんに届ける
本事業でお届けした小包は、町内産品に徹底的にこだわりました。町内産のお米や町内で育成された肉牛を使用したハンバーグ、日常的に食される海産物の加工品などを取り揃えました。また、オンラインを活用した申込受付を行い、より多くの町外に暮らす学生さんに申し込んでいただけるように仕組みを工夫しました。
応援の声が届いた学生さんのUターンに期待
本事業の評価を分析すると、現時点で山の9合目に到達と考えています。取組の大きな目的である経済的負担の軽減、精神的な負担の緩和は図れたものと評価していますが、二次効果として期待している岩美町へのUターン促進効果は現時点で検証することができないため、頂への途中段階であると考えています。
withコロナ時代に改めて発信したい岩美町の魅力
岩美町は、全国トップクラスの透明度を誇る海や四季折々の表情をみせる美しい山、源泉かけ流しの温泉など自然環境がとても豊かです。その自然環境が生んだ松葉がに(ズワイガニ)やモサエビなどの海の幸、マコモタケや新雪梨などの農産物といった「食」や、国立公園浦富海岸などの海水浴場、シーカヤックやシュノーケリングをはじめとするマリンアクティビティなどの新しい生活様式に沿った「自然体験」をお楽しみいただけます。
コロナ禍が長期化していますが、新型コロナウイルス感染症対策を講じつつ岩美町の強みを活かし、以前の賑わいを取り戻していくようにさまざまな事業に取り組んでいきたいと考えます。
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担当者コメント
岩美町企画財政課 岸田 和馬
本事業を活用いただくため、まずは周知方法を工夫
本事業の課題は、「取組の周知」です。対象者である町外の学生さんの情報は町が持ち合わせていないため、どのように周知するかが課題でした。TwitterやFacebookを始めとしたSNSが若者の間で普及していることを踏まえ、岩美町の公式SNSを活用するとともに、町内全世帯にチラシを配布し、学生さんのご家族から周知して頂くよう取り組みました。工夫した点は、ふるさと岩美を感じていただくため、小包の中身を全品町内産品とした点です。
町外に暮らす学生さんとのつながりを構築
本事業を実施してよかったことは、経済的・精神的な負担の軽減を図ることができたのはもちろん、町外で頑張る学生さんとの繋がりを構築することができたことです。
町内には大学・専修/専門学校がなく、自宅から通学可能な圏内にも多くはありません。そのため、高等学校を卒業した学生さんは地元を離れて就学され、地元との関わりが希薄になってしまう現状があります。しかし、お申し込みをいただいた学生さんから「岩美町を思い出す品をたくさん送ってくれてうれしかった」「将来は岩美町に戻り、就職したい」といったお便りをいただき、学生生活のお手伝いと地元を感じていただくきっかけづくりができた、と実感しています。
また、学生さんへお届けした小包に、Uターン就職に関する情報や各種Uターン施策の案内を同封し、情報発信することができました。学生さんの将来の選択肢の中に、Uターン就職が含まれることに期待しています。